秘密。
「ハァーイ。シノブ君も合コン参加OKッー事で…!」

「タケル…。テメェ、後で覚えておけよ…」

勝ち誇って笑うタケルは、僕の弱みを握っているせいか時々、無茶な難題を吹っ掛ける事もしばしある。


あの画像だけはカナコには見られたくなかった。

「そんなにこれ、カナコちゃんに知られたくないの?」
「知られたくないから嫌がってるだろう…」

タケルはフーンと納得したようなしてないような顔だったが、放っておく事にした。


「合コンかぁ…」


すでに僕の頭の中には、カナコにどんな風に言い訳をしようかと頭の中は一杯だった。

カナコは頭の回転が早いが、本人は全くやる気がないみたいで政治の問題をテレビで見てても興味が無い顔をするばかり。

時々、メールをくれる文字は難しい言い回しを使って送って来るあたりが頭の回転のよさを窺い知る。

誤魔化す事なんて難しいだろう。

まぁ、そうなったらそうなったで、合コンに行けなくなってもイイヤ。

元から行く気がなかったしな…。


「何はともあれ、飯だ飯!」


イスから立ち上がり、社員食堂へと僕は歩き出した。

最近、運動不足だったせいか首をマワしただけでグキグキと鳴る。




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