秘密。
子犬の飼い主は手を振って、でも少し心配げな顔をしながら電車が動き出した。
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「本当に、ごめんなさい!!」
頭を深々と下げる彼女は、誤解してしまったお詫びに…と言って喫茶店で今、お茶をしている。
しきりに誤る彼女に何度も「気にしてない」って言うんだけど、何かあると誤る。
「……ちょっと聞くんだけど…。そんなに痴漢にあってるの?」
…あ…これって、ストレートに聞くような事じゃないよね? やべ…。
「へ…? う、ううん…。実は…初めてで、舞い上がって…本当…ごめんなさい…」
頭を何度も下げられて、反省している彼女…三羽田カナコちゃんのツムジを見るのも少し飽きてしまったというのが正直な所。
「…えっと、カナコちゃん…だったよね。僕ね人のツムジを見る趣味はないから、顔を上げてくれる?」
「え? あ、はい…すみません」
そう言って、もう一度頭を下げて彼女はようやく僕の目を見てくれるようになった。