秘密。


「あ…」


書き掛けの書類を保存しようとしていた僕は、その時完全にパソコンの方へ意識がなかった訳で…。





「あぁッ!?」




一気に血の気が引くってこう言う事なんだろうか?


一週間以上書けて書き上げた十数枚の企画書が一瞬の内にパァ…。
立ち上がって呆然とパソコンを眺めていても、パァになったモノは…パァだ。


「さ、坂上君?」


向かいの女の子が目を丸めて僕を見ていたけど、こっちは企画書がパァになった事に頭がイッパイになっていたから気付かなかった。


「一週間の苦労が……」


後に残されたのは脱力感だけ。僕は、ヘナヘナとその場に座り込んでしまった。
今回の企画にあたってネット検索だけじゃなくて、他にもいっぱい地道に調べたモノもあったのに…。


室内にいる全員が、僕を見てる事ぐらい分かってる。けれど、自分の不幸を嘆くしか僕には出来ない。






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