秘密。
「……何?」



「あ、不快に思ったらゴメン。木庄さんの私服初めて見たから」



「フフフ。面白い事言うのね坂上君。去年の忘年会、参加したじゃない」

脳裏に浮かばせたのは去年の忘年会。

けれど、僕の記憶の中に木庄さんはいつまでたっても現れない。



「あれ? そうだっけ? ゴメン、記憶にないや」


手を合わせて謝った。


「ヒド~」
「ごめんなさい。…ってか、木庄さんはこんな時間まで飲んでたの?」


時計を見れば日も変わるから僕は少し、心配した。

だって、こんな夜遅くに女の子を歩かせるなんて危ないじゃん?



「ちょっ、とね…」



意味ありげな笑みにこの時の僕は全く気付かなかった。

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