秘密。
イラつく感情をカナコに一言にこめて言うと、彼女の顔を歪めてしまった。



自分が言った言葉に傷ついているカナコ。
「…………」
「………もう、いい…」




顔を歪めてしまったカナコをこれ以上見ていたくなくて、自分から話を終わらせ彼女から離れる。



「ぉ、おい…シノブ。いいのかよ…彼女…」


「いいんだよ!」


小さな声で僕を呼び止めるタケルを無視同然に歩き、外へ出て行こうとする。



「…ぁ、すまないタケル。これ、金」


そう言って、上着のうちポケットから取り出した財布から5千円を取り出してタケルに渡した。


今日のこの合コン費用だ。まだ料理すら出ておらず飲み物だけしか出てないけど、セッティングをしたタケルに会費より多めに出す。





「…っシノブ!」

「じゃ、な」




僕は軽く手を上げて、店を出て行った。




…だから、カナコの方を見ていなかった。カナコが泣きそうになっていた事に…。





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