秘密。
秘密 ⅩⅠ
~~♪~
不定期になるカナコ専用の着メロに僕はずっと無視を決め込んでいる。
無視をするなら、マナーモードにすればいいのに。
着メロがなるたびに、携帯に手を伸ばそうとするのに。
自分で言った言葉が、自分に重く圧し掛かる。
怒りに感情任せた事がさらに僕自身苛立たせた。
これ以上、携帯に気を取られたくなくて僕はタバコを銜えて、火を点ける。
ゆっくりと煙を吸い込み、吐き出す。
家についてから、これで何本目だろうか?
いつも用心してベランダに出て吸っていたけど、今日は珍しく部屋の中で吸う。
何度目かの着メロに、僕はいてもたってもいられず、ベッドの上に転がったままの携帯を見れば『加奈子』と着信者の登録された名前が出ていた。
一瞬の躊躇。