忘れたくない恋【完】
翼は照れると照れ隠しで顔を
わざとムッとさせて口をとんがらせる。
そして翼は滅多にありがとうを
あたしに言ってはくれなかった。
いつもあたしに言うのは
“ごめん”だった。
だから「ありがとう」と
言われた時は本当に心の底から
嬉しかった。
渡し終わって、バイバイしてから
菜奈の所に戻った。
瞬間あたしは地面に座り込んでしまった。
菜奈
「満月!大丈夫?!」
満月
「ははっ、ドキドキしすぎて
一気に力抜けた。嬉しすぎて
………嬉しすぎるよ…グスンッ。」
涙が溢れて止まらなかった。
これは悲しい涙ではない。
嬉しい涙だった。