雫-シズク-
「大丈夫か?」


そんな一言で、僕の中のなにかがぼきんと壊れた。


僕のこと、心配してくれるの?


このままだと今までかくしてきたものがあふれ出て変になってしまうかもしれない。


でも、もう……。


とうとう葵さんの気持ちに甘えてしまった僕は、おさえられないたましいの震えと一緒に、これ以上出せないくらいの大きな大きな泣き声を上げていた。


「うっうわぁぁぁ!!うわあぁぁぁん!!」


少しおろおろした葵さんが、ふうっと短く息をしたあと手に力を込める。


僕はもうこんな自分を止められない気がして、このまま本当におかしくなるんじゃないかと思った。


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