雫-シズク-
「あ?……あぁ、いいよ別に」


床に降りてうつむきながら葵さんの顔を見ると、あお向けでうでの上に頭を乗せて寝ている。


僕はベットから少しはなれたところにそっと座った。


しばらくなにも言わないで目をつぶっていた葵さんがぼそりと聞いてきた。


「お前、学校楽しい?」


少し考えて、思ったことをそのまま答える。


「……楽しくないです。なんかずっと一人だから」


四年生になって新しく変わったクラスの人達が、やっぱり僕を施設の子だとかかげでいろいろ話しているのを知っている。


そのせいでいじめられたりはしていないけど、親のいない僕はもうみんなと同じになれないんだと一年たってよくわかった。


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