雫-シズク-
食堂に着くと調理師さんが僕のために雑炊を作ってくれていて、まだあんまりお腹がすいていなかったけど残さないで食べることができた。


そのあと部屋に戻ってまたベットに寝転がった葵さんが、枕元のマンガをごそごそ選び始める。


お金のない僕は学園に来てから一回も読みたいマンガを買っていない。


「ほら、これ読めよ」


葵さんがベットのそばに座る僕に一冊のマンガをさし出した。


「ありがとう」


一緒に生活するようになってすぐのころから、僕がひまそうにしているとたまにこうしてマンガを貸してくれる。


葵さんはいつもほとんど笑わないし目つきも悪くて近寄りにくい人だけど、僕は前からそんな葵さんが好きなんだ。


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