雫-シズク-
もうとっくに消灯時間も過ぎた部屋のベットで、僕と葵さんの小さな声が行ったり来たりしている。


「……でさ、おかしくて笑いたかったんだけど、とりあえず気合いで耐えた」


「えー、本当ですか?ふふふっ」


あのずる休みから3ヶ月くらい過ぎた僕達は、たまにこうして夜中までひそひそ話しをするようになっていた。


葵さんの話がおかしくて寝るのが遅くなったり、昼間は二人でゲームセンターに行ったりもする。


お金がなくて壊れたふで箱を使っていた僕に新しい物を買ってくれたこともある。


いつもなんとなくおもしろくなさそうな顔なのにいろいろ僕を気にしてくれる葵さんが、なんだかお兄さんみたいだ。


これまではただ一緒に生活するだけだったけど、今は葵さんといることが信じられないくらい楽しかった。


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