雫-シズク-
「生きる場所なんておおげさですよ。殺されるわけじゃないんだから」
その時、低く変わった葵さんの声が下から突き上げてきた。
「お前こそなにがわかって言ってんだよ?殺されない?アホかよ!こっちにはそんな保証はねぇんだよ。明日死ぬかもしれないってビビリながら生きるんだ。
鼻が折られて血がふき出そうが、飛んできたビデオデッキが当たって耳が聞こえなくなろうが、こっちはそれを受け入れるしかねぇ」
ぎしっとベットが鳴った音で葵さんが起き上がったことを知った僕は、怖くなって寝たままぎゅっと体をちぢませた。
「食う物なくてごみ箱あさるのも普通だったし、煙草で自分の肉が焼ける痛みも臭いも知ってる。ずっと腹が減ってたからうまそうな臭いだったよ。
さんざんそんなことくり返して風呂場で殺されかけた時は、これで死んだらやっと自由になれるって心の底から喜んだね」
少しずつ葵さんの声が震えてきているのがわかる。
「知ってるか?俺が痛くて手足じたばたさせてる時の汚ねぇもんでも見るような目をさ。殴られたせいで吐いてもらして声も涙も出せないで倒れてる時だって、せいせいしたみたいに笑ってんだ」
その時、低く変わった葵さんの声が下から突き上げてきた。
「お前こそなにがわかって言ってんだよ?殺されない?アホかよ!こっちにはそんな保証はねぇんだよ。明日死ぬかもしれないってビビリながら生きるんだ。
鼻が折られて血がふき出そうが、飛んできたビデオデッキが当たって耳が聞こえなくなろうが、こっちはそれを受け入れるしかねぇ」
ぎしっとベットが鳴った音で葵さんが起き上がったことを知った僕は、怖くなって寝たままぎゅっと体をちぢませた。
「食う物なくてごみ箱あさるのも普通だったし、煙草で自分の肉が焼ける痛みも臭いも知ってる。ずっと腹が減ってたからうまそうな臭いだったよ。
さんざんそんなことくり返して風呂場で殺されかけた時は、これで死んだらやっと自由になれるって心の底から喜んだね」
少しずつ葵さんの声が震えてきているのがわかる。
「知ってるか?俺が痛くて手足じたばたさせてる時の汚ねぇもんでも見るような目をさ。殴られたせいで吐いてもらして声も涙も出せないで倒れてる時だって、せいせいしたみたいに笑ってんだ」