雫-シズク-
そんな騒がしさが消えるのと同時に亮くんの苦しそうな息遣いが聞こえてきた。


すぐに俺はぐったりと倒れている亮くんに駆け寄る。


「大丈夫!?」


腫れたまぶたで押し潰された目が微かに開いて、亮くんが小さく頷いた。


口からも血がぷくぷく出ていて中もかなり切れているらしい。


「病院行かなきゃヤバイよね!?」


頭や体も心配になった俺は後ろに立っている葵さんに聞いてみた。


「……あぁ、まぁ、な」


はっきりしない葵さんの言葉が少し気になったけど、こんなに怪我してなにかあったら大変だ。


「葵さん携帯で救急車よんで!」


その時亮くんが俺の腕を強く握り締めてきた。


「え?なに?どうしたの?」


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