雫-シズク-
とりあえず汚れた制服を脱がしてそっとベットに寝かせる。


ずっと小さくうめいている亮くんはやっぱりどう見ても辛そうだ。


「ねぇ、傷手当てしなきゃ駄目だよね。どうしたらいい?」


まだ鼻や口のはしから血を流して全身も擦り傷だらけの亮くんが、顔を歪めながら答える。


「……自分で、やる。がっこ、……行け」


こんな状態で?無理でしょ?


「いや、俺やるよ。救急箱あったよね?」


俺は各部屋ごとに置かれている救急箱を探そうと立ち上がった。


「いいから……!もう、行けよ……!」


急に大声を出した亮くんの顔を驚いて見ると、切れて痛いはずの唇をぎゅっと噛み締めて強く拒んでいるのが伝わってきた。


「……わかったよ。それじゃ俺学校行くからね?」


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