雫－シズク－

次の朝、葵さんは病院へ行くためにまた学校をサボり、俺は一人で砂利道を歩いていた。


いつもより少しだけ遅く学園を出たからまわりに人は見えない。


公園に近付くとなんとなく昨日の亮くんを思い出して嫌な気分になった。


あんなにボコボコにされたらかなり痛そうだよね……。


変な寒気を感じながら公園を通り過ぎようとした時、突然なにかに腕を引っ張られて公園の中に引きずり込まれた。


あまりの驚きに声も出ない。


パニックになりかけた俺の視界に、なんだか見たことのある顔がうつる。


……昨日の奴だ！


そう気付いた時にはソリコミの入った体格のいい男に勢いよく投げ飛ばされていた。


「うわっ！」


どしゃっと地面に叩き付けられてわけもわからず起き上がろうとした俺の頭を、いきなり金髪でリーゼントの男に強く踏み付けられる。