雫－シズク－
「ふひひひっ、せっかく亮をボコッてたのに昨日中途半端で終わっちゃってさ、俺達ずっとつまんないんだぁ。お前同じ施設のガキなんだろ？ちゃーんと責任取ってよねぇ」


ふざけた口調のリーゼントが踏み付ける足をぐりぐりと動かすと、靴の下の髪の毛が全てむしられるような痛みに襲われた。


どうして俺がこんな目に……！


激しい怒りが湧いてくるけど相手は年上で人数も多い。


喧嘩の仕方なんかわからないからとにかくすきを見て逃げようと思った瞬間、腹と背中に同時に蹴りを入れられて息ができなくなった。


「ぐぅ！」


リーゼントが声を裏返して笑いながら俺の頭からやっと足を外す。


「さっさとやっちまおうかぁ」


その言葉が合図のようにそこから恐ろしいリンチが始まった。


交代で殴られる顔からはすぐに鼻血が噴き出して、何度もしつこく腹を蹴られたせいで血の混じった物を３回吐いた。


ぜいぜいと肩で息をする俺を無理矢理抱き起こして、サンドバックみたいに次々と上半身に拳を食い込ませる。


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表紙・目次

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