雫-シズク-
「たかが施設のガキのくせに調子こいちゃうからだよぉ?亮の代わりに腕もらうわぁ」


どっと湧き起こった笑い声と同時に、工事現場で鉄の棒がひしゃげるような大きな音が俺の耳に届いた。


ゴギィンッ!!


遠のいていた俺の意識をいとも簡単に呼び起こすほどの衝撃と激痛が左腕から全身を貫く。


「うがあああぁぁぁぁー!!」


あまりの痛みで左腕に触れることすらできず、こらえるために右手で自分の胸ぐらを血管の浮き出た拳で握り締めた。


「うぐぐぐっ!」


体のどこかを少しでも動かすと更に痛みが襲ってくる。


全身を硬直させておびただしい汗をかき今にも気が狂いそうな俺を男達はげらげらと笑っている。


突然吐き気が込み上げて、そのまま胃液だけを立て続けに二回吐き出した。


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