雫－シズク－
絶望。
来た時の黒くて大きな車じゃない白い車に乗せられた僕は、箱に入ったお父さんとお母さんを両手で一生懸命持って家に戻った。


こんなに悲しいのに、もう涙が出てこないのはどうしてだろう……。


ほかのみんなはもう帰っていて、美江子おばさんと無理やり僕を外に出した怖いおじさんだけが僕達の家にいる。


僕はお父さんとお母さんを「イコツ」って呼ぶこのおじさんと一緒になんかいたくないのに。


二人がなにかひそひそ話して僕のところに来た。


そして美江子おばさんが暗い顔でゆっくり話し始める。


「あのね、圭介くんはここで一人で住むのは無理だから、違うお家にお引っ越ししなきゃいけないの」


「……違う、家？」


急にそんなことを言う美江子おばさんに僕はおどろいた。


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