雫-シズク-
消灯時間もとっくに過ぎた頃、俺は暗くなった食堂に一人でぽつんと座っていた。


あれから部屋に帰らされた俺は、ベットに横になってもどうしても眠れなくて、いつの間にかふらふらとここに座り込んでしまっていた。


ただぼうっと指導員室の明かりを見つめていると、ドアが微かに軋んでゆっくりと開き始める。


ずっと固く閉められていた室内から眩しい光がこぼれてきた。


「……圭介、くん?」


暗闇にまぎれた俺に桜井さんが気付いたらしい。


その表情は影になって見えないけど声は疲れ切っていた。


「亮くん、見付かったって……」


他の指導員達がばらばらと帰って行くのを見送りながら桜井さんがぼそりと言う。


その言葉に俺の体が無意識にぴくんと反応した。


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