雫-シズク-
その夜、学習時間中に葵さんに電話がかかってきたと桜井さんが呼びに来た。
一瞬部屋の空気がぴりっと緊張する。
葵さんは学園名義で買った携帯を持っているけど、以前母親だけには番号を教えていないと言っていた。
だから俺がここに来て三度目くらいのその呼び出しは、葵さんの母親からのものだと簡単に推測ができる。
無言で椅子から立ち上がってジャージのポケットに両手を突っ込んだ葵さんが、面倒臭そうに部屋を出ていった。
母親からの電話のあと、葵さんは必ず苛付いて睡眠薬をいつもより多めに飲んですぐに眠ってしまう。
心配だけど話の内容まで知らない俺には見守ることしかできない。
なんだか落ち着かないで待っていると、15分くらいで葵さんが戻ってきた。
「おかえり」
「……あぁ」
一瞬部屋の空気がぴりっと緊張する。
葵さんは学園名義で買った携帯を持っているけど、以前母親だけには番号を教えていないと言っていた。
だから俺がここに来て三度目くらいのその呼び出しは、葵さんの母親からのものだと簡単に推測ができる。
無言で椅子から立ち上がってジャージのポケットに両手を突っ込んだ葵さんが、面倒臭そうに部屋を出ていった。
母親からの電話のあと、葵さんは必ず苛付いて睡眠薬をいつもより多めに飲んですぐに眠ってしまう。
心配だけど話の内容まで知らない俺には見守ることしかできない。
なんだか落ち着かないで待っていると、15分くらいで葵さんが戻ってきた。
「おかえり」
「……あぁ」