雫-シズク-
うんそうだねとも、いや違うよとも答えられない俺は、葵さんの方を見て困った表情で首を傾げた。


そしてやっぱり様子がおかしい葵さんをじっと見つめる。


なんか変だ。いつもみたいに苛付いてもいないし……。


すると葵さんは俺が思ってもいなかったことを打ち明けた。


「……そんでさ、俺に帰って来いって。再婚相手が子供を施設に預けてるなんて恥ずかしいって言ってんだってよ」


「えっ!?嘘でしょ!?」


まさかの内容に俺は思わず腰を浮かせて椅子から立ち上がりそうになった。


「葵さん帰らないよね!?ここにいるんだよね!?」


とっさに隣の葵さんの腕をぎゅっとつかんでしまう。


葵さんがいなくなる……!?そんなの嘘だ!


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