雫-シズク-
「だってそんなのあんまりだよ!急すぎるよ!それでなくても葵さんの卒業まであとちょっとじゃないか!それがいきなり来週だなんて……!」


実は俺はずいぶん前から葵さんの卒業を考えては一人で落ち込んでいた。


この学園は18で出なければならない規則だから、これからどうしても葵さんとの別れが来る。


でもそのたびまだあと何ヶ月か時間があると自分に言い聞かせて、なんとか前を向いてきた。


それが突然、たった数日になるなんて。


「しょせん俺らはガキなんだよ。自分の力じゃなんにもできねぇんだ」


葵さんの諦めたような声が俺の耳に届く。


嫌だ!そんなの嫌だ!なにか、なにか葵さんがここに残れるようになることはないか……!?


必死に見付けようとショックでうまく働かない頭をがしがしとかきむしった。


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