雫-シズク-
「お前、昨日のこと気にしてんの?」


葵さんが首をこきこき鳴らしながら、毎朝恒例の不機嫌モードで話しかけてきた。


「別に」


そうは言ったものの俺がろくに挨拶もしない状態はかなり珍しいからバレバレだ。


はぁっと短いため息をついた葵さんが椅子の上で腕組みをする。


「誰だってどんな関係だって、一生一緒にはいらんないだろ?俺達だって離れる時が必ず来る。それが早まっただけだろ?」


その言葉で余計に苛付いた俺は、手に持っていたノートをばんっと机に置いてそのまま勢いよく部屋を出た。


なにが離れる時が来るだよ!


なにが早まっただけだよ!


なんでそんなに普通なんだよ!


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