雫-シズク-
頭の中にぐるぐると渦を巻いた感情をぶつけるように、ずかずかと大またで廊下を歩いていく。


学園を去るのは仕方ないことかもしれない。


でも昨日あんな大事な話のあと、葵さんの態度はいつもと全然変わらなかった。


それが自分ばっかり悩んでいるみたいに感じられて、とうとう俺は完全にすねてしまった。


どうしても納得できない俺に対して、すぐにそれを受け入れた葵さん。


その気持ちの違いに無性に腹が立って仕方ない。


俺達ってその程度のものだったの?


あっという間に朝食を食べて部屋に鞄を取りに行くと、俺は一人でさっさと玄関に向かった。


そして学園に来てから初めて葵さんを置いてきぼりにして、ぷりぷりと怒りながら乱暴にドアを開けた。




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