雫-シズク-
「首か!?佐伯が自分でやったのか!?とりあえずいったん降ろすぞ!!手を貸せ!!」


坂井さんの怒鳴り声に僅かに頷くと、俺達はベットの外に葵さんを連れ出して床に寝かせた。


「誰かタオル取って!!浅野、強く首圧迫しろ!!」


部屋に駆け付けていた桜井さんが、慌ててたんすから数枚のタオルを用意して俺に手渡す。


そのままタオルを首に押し付けると、坂井さんが葵さんの鼻先に耳をあてて胸の動きを見た。


じっと動かない坂井さんに苛立った瞬間、その顔が引きつる。


「呼吸が、……止まってる」


その小さな言葉を聞いた俺は、葵さんの顔を上から覗き込み呆然とした。


そんな、馬鹿な……。


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