雫-シズク-
すると突然がくがくと膝が抜けるような感覚に襲われて視界が大きく揺れ動き始める。


なんとか踏み止まろうとしたけどどうにもならなくて、そのままがくんと両膝から床に崩れ落ちてしまった。


「圭介くん大丈夫!?」


駆け寄って俺を覗き込んだ桜井さんが、はっと息を飲んだのと同時にぐいっと俺の左腕を手に取る。


「こっ、これ……!?」


なんだろうと目を向けると、葵さんの返り血でぐっしょりと湿っている学生服の腕の裂け目の中から、とろとろと新しい血液が湧き出てきていた。


「大変!圭介くんも怪我してるじゃない!急いで手当てしなきゃ!」


そう言った桜井さんはなんとか俺を引き起こすと、ふらつく体を支えながら指導員室へと連れて行った。


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