雫-シズク-
今まで感じたことのない敵意が自分の心まで粉々に破壊してしまいそうだ。


このまま狂うんじゃないかとほんの少しだけ恐ろしさが頭をかすめたけど、壊れてしまうならそれでいい。


「ちょっと!そんなの知らないわよ!それになんなのその口のきき方!?こんな子のいる施設ならなにが起こっても不思議じゃないわね!」


きっとなにを言っても簡単に弾き返されてしまうという思いが、俺の全身をぶるぶると震わせる。


そして俺は憎悪のこもった目で母親を真っ直ぐに睨み据えたまま叫んだ。


「葵さんを傷だらけにして追い詰めて生きる希望を奪ったのはあんたじゃないか!葵さんは自殺なんかじゃない!あんたに殺されたんだっ!」


「浅野!お前なんてことを!いい加減黙れ!」


「けっ、圭介くん!」


俺の絶叫のような言葉が終わる前に、血相を変えた坂井さんと桜井さんがきつく俺を制した。


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