雫-シズク-
その後病室に戻された俺は、カーテンを全開にして坂井さんに見張られながら点滴の続きを受けた。


お互い無言の静まり返った空間で、俺はもうすぐ空になる点滴パックを見上げている。


すると小さなノックの音のあと桜井さんが姿を現した。


「圭介くん、少し落ち着いた?」


そう問いかけられたけど、俺は無反応のままぽとりぽとりと規則的に落ちる透明の液体を見つめる。


「佐伯の方は……?」


パイプ椅子に腰かけた坂井さんが心配そうに桜井さんに聞いた。


「ええ、あのあとすぐに園長が警察の方と来て事情を話し合いました。部屋に……」


そこで言葉が止まって俺を伺う気配がしたあと桜井さんが話を続ける。


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