雫-シズク-
何度も手から滑り落ちるライターに、やっと胃に詰め込んだ物が効き始めていると気付いて、無性に笑いが込み上げてきた。
目の前に迫っているはずの死に対する恐怖心は一切なく、今のこの状況が誰にも真似できない特別なことのような気がして満足感すら覚える。
その高鳴る胸を押さえながらくつくつと肩を震わせると、不意に体が傾いて机の上に転がっていたライターを床に弾き飛ばしてしまった。
一瞬足元の暗闇を見下ろした俺は、面倒臭くなって薬の散らばる机に力が抜けるように顔を突っ伏した。
……このまま眠れば、楽に死ねる。
片方の頬に机のひんやりとした温度を感じながら、徐々にぼんやりと焦点の合わなくなってきた目で残りのシートの束や粒を何気なく見つめた。
ここまでいろんなことがあったけど、今までに感じたことのない穏やかな気持ちが胸に広がってくる。
もう何年もかけて膨らませてきた親への憎悪も、学園での孤独や疎外感も、受け入れられなかった葵さんの死も全て許せる気がするほど、それは俺の心を大きく抱きしめた。
目の前に迫っているはずの死に対する恐怖心は一切なく、今のこの状況が誰にも真似できない特別なことのような気がして満足感すら覚える。
その高鳴る胸を押さえながらくつくつと肩を震わせると、不意に体が傾いて机の上に転がっていたライターを床に弾き飛ばしてしまった。
一瞬足元の暗闇を見下ろした俺は、面倒臭くなって薬の散らばる机に力が抜けるように顔を突っ伏した。
……このまま眠れば、楽に死ねる。
片方の頬に机のひんやりとした温度を感じながら、徐々にぼんやりと焦点の合わなくなってきた目で残りのシートの束や粒を何気なく見つめた。
ここまでいろんなことがあったけど、今までに感じたことのない穏やかな気持ちが胸に広がってくる。
もう何年もかけて膨らませてきた親への憎悪も、学園での孤独や疎外感も、受け入れられなかった葵さんの死も全て許せる気がするほど、それは俺の心を大きく抱きしめた。