雫－シズク－

そしてそれがなんなのかを理解した瞬間、絞り上げるようなかすれた叫び声を放った。


「ううっ！うわああぁぁぁっ！」


残った力で紙を束ごとぐしゃりと握り潰すと、中の錠剤がいくつか指の間からぽろぽろと落ちていく。


「なんでだよ……！なんで俺だけ……！」


俺の手の中でしわくちゃになった白い紙切れに走り書きされた、見覚えのある文字。


その少し右上がりのたった三文字だけの言葉は。


『死ぬな』


強く濃い筆圧で間違いなく葵さんによって書かれた短すぎるそのメッセージは、ぼやけた視界に割り込むように飛び込んできて俺の麻痺した心に鋭く突き刺さった。


葵さんからの『死ぬな』という言葉は、今の俺を拒絶するという意味だ。


「なんで俺だけ駄目なんだよ……！うっせぇ……！あんただけ楽になる気か……！」