雫-シズク-
人形みたいに固かった体が急にぐにゃりと力をなくす。


そしてがくんとひざから転ぶと、僕の中でずっと我慢していたものが爆発した。


「うっ、うぅっ、うわああぁぁぁぁー!!」


おじさんが無理やりお父さんとお母さんを連れて行ったんだ!僕はみんなと一緒にいれるだけでいいのに!


僕がどんなにひどいことをされたかを思いっきり言いたいのに、口からちゃんと言葉が出てこない。


何日か前にお母さんの手伝いで落としたお皿みたいに心が割れちゃいそうで、地面をがつがつ叩いて火がついたみたいに泣き叫んだ。


どうして?どうしてなの?コウナッタノハドウシテ?


ただ離れたくないだけなのに、どうしてみんなだめだって言うのか僕にはわからない。


少し前のあったかい笑顔がどうしてなくなっちゃったのか、僕には全然わからなかった。




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