雫-シズク-
いつの間にか上も下もわからないような真っ暗な空間に俺はぽつんと立っていた。
そしてなぜか目の前にそびえ立つ焦げ茶色のとても大きなドアを見上げている。
地獄の入口だろうかと考えながら重いドアを開けると、中は暗闇に包まれた家具も明かりもない広い部屋だった。
あまりに深い闇でなにも見えないはずなのに、天井からなにかがぶら下がっている気配を感じる。
……この光景、どこかで?
そう思って一歩足を踏み出した時、断続的な映像が俺の脳裏になだれ込むようにフラッシュバックし始めた。
首を吊って天井からだらりとぶら下がり、意識が途絶える寸前まで苦しみもがき抜いた表情のまま俺を見下ろす親父。
全身血まみれの姿で床からのそりと俺を見上げて、ぷくぷくと口からいくつもの血糸を流して笑うお袋。
首の骨が折れたように頭をありえない方向に垂れ下げて追いかけて来た忌まわしい親父が。
俺の足元に倒れ込んでごぽごぽと喉を鳴らしたお袋が。
そしてなぜか目の前にそびえ立つ焦げ茶色のとても大きなドアを見上げている。
地獄の入口だろうかと考えながら重いドアを開けると、中は暗闇に包まれた家具も明かりもない広い部屋だった。
あまりに深い闇でなにも見えないはずなのに、天井からなにかがぶら下がっている気配を感じる。
……この光景、どこかで?
そう思って一歩足を踏み出した時、断続的な映像が俺の脳裏になだれ込むようにフラッシュバックし始めた。
首を吊って天井からだらりとぶら下がり、意識が途絶える寸前まで苦しみもがき抜いた表情のまま俺を見下ろす親父。
全身血まみれの姿で床からのそりと俺を見上げて、ぷくぷくと口からいくつもの血糸を流して笑うお袋。
首の骨が折れたように頭をありえない方向に垂れ下げて追いかけて来た忌まわしい親父が。
俺の足元に倒れ込んでごぽごぽと喉を鳴らしたお袋が。