雫－シズク－

まるで自分の一人相撲のようなその場の静けさに無性に腹が立って、ばんばんと床を殴って起き上がる。


「俺は絶対にお前らを許さない！そんな俺をお前らが作ったんだ！くそっ、ざまぁみろって思ってんだろ!?今すぐお前ら潰してやるからな！笑いたきゃ今のうち好きなだけ笑っとけ！」


そう叫びながら立ち上がり苦しい呼吸を一瞬だけ整えて、床をもそもそと這うように動く影をぎろりと見据えた。


俺の方に頭をもたげて言葉もなくゆっくりと手で床を引っかくような姿に、身震いするほどの怒りを感じる。


「化け物のくせにいつまでシカトしてんだよ！ざけんなこらぁっ！」


おぼろげに人の形だけがやっとわかるくらいの闇の中、馬乗りになって手当たり次第めちゃくちゃに破壊してやろうと床を蹴った瞬間。


這いつくばるその影がびくんと大きく動く気配がした。


ここは地獄で相手はかつて親だったとしても得体の知れない化け物だ。