雫-シズク-
食道を押し広げてぐいぐいと入り込んできた管がぴたりと止まり、胃に到達したことを知る。


そこから胃に直接水を流し込んではすぐに排液という行為が、何度も何度も繰り返される。


焼けるような痛さとあまりの苦しさに涙を流し悶えた俺が、死に物狂いで暴れようが鳴咽混じりの悲鳴を上げようが一切お構いなしだ。


ひたすら込み上げる激しい吐き気と呼吸困難で、恐怖だけがどんどん増してくる。


せめて意識がなくなれば楽になれるのにと思ったけど、処置が進むほど苦痛で頭も冴えてきてしまった。


しかも鼻でしか呼吸できないのに連続で襲ってくる嘔吐で鼻水が止まらなくなり、酸素を得られる唯一の場所まで詰まりだす始末。


……このまま、もがき苦しみながら死ぬかもしれない。


完全に覚醒した意識の中で受けるいつ終わるかもわからない耐え難い拷問は、まるでとがった刃物で全身を刻み付けるように死への恐ろしさを脳に記憶させていった。


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