雫-シズク-
溶膿。
コツ、コツ、コツ、コツ……。
夜の学習時間、ほお杖をつき蛍光灯のともる部屋の机をひたすら人差し指で弾く。
学校とバイトに行くだけの以前と変わらない生活が二ヶ月ほど過ぎ、そろそろ秋の気配が感じられる頃。
俺は内心焦っていた。
葵さんと訣別して生きると決めたのに、自分がこれからなにに向かっていけばいいのかがわからない。
これまでずっと自分の存在理由を見付けられない代わりに誰かを恨み続けてきた俺は、ただ一日一日を漠然とした焦燥感だけで過ごしていた。
はっきりとしない大きな不安が押し寄せるたび、心の中に黒い霧が立ち込めそうになる。
それに飲み込まれないよう自分を保つためには、なにか目標が欲しかった。
ふと気付くとそればかり考えている自分に苛々して、ノートの上にある消しゴムを指でぴんとつついてみる。
「……あ」
夜の学習時間、ほお杖をつき蛍光灯のともる部屋の机をひたすら人差し指で弾く。
学校とバイトに行くだけの以前と変わらない生活が二ヶ月ほど過ぎ、そろそろ秋の気配が感じられる頃。
俺は内心焦っていた。
葵さんと訣別して生きると決めたのに、自分がこれからなにに向かっていけばいいのかがわからない。
これまでずっと自分の存在理由を見付けられない代わりに誰かを恨み続けてきた俺は、ただ一日一日を漠然とした焦燥感だけで過ごしていた。
はっきりとしない大きな不安が押し寄せるたび、心の中に黒い霧が立ち込めそうになる。
それに飲み込まれないよう自分を保つためには、なにか目標が欲しかった。
ふと気付くとそればかり考えている自分に苛々して、ノートの上にある消しゴムを指でぴんとつついてみる。
「……あ」