雫-シズク-
日曜の午後、俺は黒の長袖Tシャツにジーパンという軽装でバスに乗り、とある場所に向かっている。
休みのせいで自分と同年代くらいの男女のグループががやがやしている車内には、左腕の包帯を痛そうな目で見る人もいない。
やっと少し涼しくなって服で隠せる季節になったから、邪魔くさい視線もなくてかなり助かる。
後ろの席の俺は近くに座る小学生くらいの少年とその母親らしき二人連れをなんとなくぼうっと見ていた。
さっきからはしゃいでいる少年が楽しそうに母親に顔を近付けたり、頭を撫でられたりしている。
……まるでそこは別世界だな。
羨ましさが僅かに胸をかすめたけど、それよりもただただその少年の笑顔が眩しかった。
ふうっと小さなため息をつきながら顔を前に戻して、ジーパンのポケットにごそごそと手を突っ込む。
休みのせいで自分と同年代くらいの男女のグループががやがやしている車内には、左腕の包帯を痛そうな目で見る人もいない。
やっと少し涼しくなって服で隠せる季節になったから、邪魔くさい視線もなくてかなり助かる。
後ろの席の俺は近くに座る小学生くらいの少年とその母親らしき二人連れをなんとなくぼうっと見ていた。
さっきからはしゃいでいる少年が楽しそうに母親に顔を近付けたり、頭を撫でられたりしている。
……まるでそこは別世界だな。
羨ましさが僅かに胸をかすめたけど、それよりもただただその少年の笑顔が眩しかった。
ふうっと小さなため息をつきながら顔を前に戻して、ジーパンのポケットにごそごそと手を突っ込む。