雫-シズク-
そう言って桜井さんは部屋を出て行った。


ドアに背中を向けて力が抜けたみたいにぺたんと座って、右から左にゆっくり目を動かす。


「……僕はこれからどうなるの?本当に慣れられるの?」


この新しい場所でそうつぶやいて体をちぢめた僕は、強く握った両手をひざの上に置いて泣き出してしまった。




しばらくそのまんま座っていると、がやがやした人の声が僕の部屋に近付いてくるのに気付いた。


泣き顔を見られたら怒られるような気がして急いで手で顔をふく。


するといきなりドアが開けられて、僕より少し年上っぽい男の子がずかずか入って来た。


目つきの悪い男の子が腕を組んでじろじろ僕を見る。


「ふーん、お前が新しい奴?名前は?親が死んだんだってー?」


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