雫-シズク-
「うっ!?」


慌てて口元を押さえた俺は、突然の強烈な吐き気を我慢できずに教室を飛び出した。


激しく逆流してくる溶岩のような塊を喉に止めたまま、誰もいないトイレに駆け込む。


「ううっ、うげえっ、っええぇっ」


便器に倒れかけた体制で、口から胃袋が出てきそうなくらい勢いよく何度も嘔吐した。


唾液すら出なくなってもしばらく吐き気はおさまらず、ずるずると床に座り込む。


「はっ、はぁっ、はぁっ、くそっ」


肩で息をしながら崩れるように壁によしかかり、狭い個室の中から小さな天井をぼうっと見上げた。


……テストのたびにこうなる俺は、どこか壊れかけているんだろうか?


散々流した涙を拭いもせずに、俺は制御不能になりかけた自分の体を持て余し始めていた。


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