雫-シズク-
「まったくもう……。圭介くん驚かないでね。少し騒がしい子もいるけど気にしなくていいから」


きゅっとまゆげを寄せて怒ってるみたいに笑った桜井さんが、手に持っていた紙を僕にさし出す。


「これ、一日のスケジュール。5時から園内の掃除があって、6時から晩ご飯だから。掃除は当番があるからまたその時説明するね」


そこで桜井さんは床に置いたまんまの僕の水色のかばんを見付けた。


「圭介くん、荷物片付ける所わからない?」


「……はい」


さっきの男の子のせいで元気のなくなった僕は、小さくうなずきながらつぶやいた。


「それじゃ一緒に片付けようか」


そう言った桜井さんが僕の横に座ってかばんを開ける。


それを見てなんとなくお母さんを思い出した。


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