雫-シズク-
少し気分もよくなってきた8時からは部屋ごと順番にお風呂に入る時間で、僕の番になったころ桜井さんが迎えに来てくれた。


一緒に食堂を出た時に亮くんと二人で入らなくちゃいけないって知って、またのどの奥にすっぱい味を感じてしまう。


脱衣所に着いてルールや物の使い方を教えてもらった僕は、亮くんが来ないうちにたくさんとげとげの出たカゴに服を脱いで、あちこち割れている水色のタイルのお風呂場に入った。


そのあとすぐに脱衣所からどたどたうるさい音がして、なにかぶつぶつ文句を言う亮くんがタオルを持って入って来た。


「なんでこんなきたねー奴となわけ?つーかお前、さっきのゴキブリちゃんと捨てたのかよ?くくくっ」


「……うん、捨てたよ」


洗い場の椅子に座る僕をやっぱりばかにして笑っているから、亮くんの方を見ないようにした。


そして二人でならんで体を洗っていると、にやついた亮くんが僕に聞いてきた。


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