雫-シズク-
体の力が抜けたみたいにぼうっと転がった僕は、ぶつぶつ同じ言葉ばっかりくり返した。


「……違う、……違う、……ちが……う」


自分でもどこを見ているかわからない目で空中をにらんで、心の中で一生懸命捨てられたんじゃないって叫び続ける。


お父さんとお母さんが僕を捨てるわけないよ。


だっていつも僕に大好きだって言ってくれたんだから。


一回も僕を嫌いだって言ったことなんかないし、じゃまにだってされたことないんだから。


目をつぶるとお父さんとお母さんの優しい笑顔が浮かんできた。


そのまんま僕は自分がどこにいるのか、なにをしているのか、全部わからなくなってしまった。




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