雫-シズク-
現実。
お風呂場で倒れた日から何日か過ぎた。


学園の生活に少しずつ慣れてきたけど、どうしてもお父さんとお母さんを思い出して泣いてばかりいる。


一人でいる部屋、みんなより少し早く帰ってきた玄関、だれもいない廊下、トイレやお風呂の中、いろんな場所でこっそり涙をこぼした。


何回か指導員の人達に泣き顔を見られたけど、いつも困ったみたいな顔をするからきっともっと上手くかくさなくちゃいけないんだ。


学校は転校しないでそのまんま通っているけど、どんどん話せなくなってきた僕に友達もあんまり近寄ってこない。


もう違うクラスの人にも僕のことがばれていて、かわいそうな子を見るような目や面白そうな目で僕をのぞきにきて疲れてしまった。


そんな学校から学園に帰ってきても、僕への態度はやっぱり同じ。


みんなめずらし動物やおかしな物を見るみたいに僕を見る。


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