雫-シズク-
その日の夜、きっとこれからもずっと一人ぼっちなんだって思った僕はまたベットの中でお願いした。


「お父さんお母さん、僕はどうしてみんなからいじわるされるの?どうして僕を迎えにきてくれないの?お父さんもお母さんも僕を大好きだって言ったのに……」


二段ベットの下で、ほこりっぽい布団にもぐりながら声を出さないように泣く。


「いつまでここにいなきゃいけないの?毎日すごく淋しいんだ。会いたい、お父さんとお母さんに会いたいよ……!うぅっ……うぅぅっ」


つい泣き声がもれて手で口をぎゅっと押さえた。


本当はじたばたあばれて大声で泣きたいくらいほしい二人の明るい笑顔が、しっかり包んでくれるやさしい腕が、思いっきり抱きつける広くてあったかい胸が、涙でぬれた目に浮かぶ。


この前まで普通にあったのに今はいくら探しても全然見付けられなくて、うろうろ迷う僕の心。


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