雫-シズク-
うつむいている亮くんの顔がなんとなく変だ。


……あ。


僕にはどうして変に見えたのかすぐにわかった。


口が切れてて、ほっぺたがはれてるんだ。


その口をぎゅっとしながら僕の方をにらんだ亮くんの顔は、目もほっぺたもくちびるも紫色にはれていて、傷だらけだった。


痛そうな傷、なんで……?


でもそんなことなんか聞けない僕は、気付かないふりをして下を見たまんま食堂を通り過ぎた。


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