雫-シズク-
僕、なにか変なこと言っちゃったのかな?


淋しそうな葵さんを見て少しだけ胸の中がざわざわした。


その日の夜、亮くんがいないまんまの食堂でまた静かに夕ご飯を食べ始めたけど、あちこちから小さな話し声がずっと聞こえていた。


「亮、また殴られたらしいよ」


「えー、また?でもうちよりマシじゃん?」


「痛そうだったけどたいしたことないって」


そして僕は勝手に耳に入ってくる話で、亮くんがここに来てからも家に帰るたんびなぐられていたことと、それはここじゃ普通だっていうことを知った。


あんなに痛そうだった亮くんのことを笑いながら話す人達。


それからじまんするみたいに家で自分がされたことを話し始める人達。


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