雫-シズク-
佐藤さんがそんな僕を見て言う。


「遠慮しないで何でも言っていいのよ?」


「あ……、はい」


ほんわかした顔の佐藤さんがテーブルに両手を置いて、もじもじしている僕をゆっくり待ってくれている。


次はまた来月だし、どうしようかな。


今までずっと自分から話そうとしなかったことだけど、気になっていたから思い切って聞いてみようと決めた。


「あの、お父さんとお母さんのことなんですけど……」


おどろいたみたいに目を丸くした佐藤さんが、真面目な顔からすぐに笑顔に戻る。


「うん」


< 83 / 347 >

この作品をシェア

pagetop