ライアーライフスタイル

鳥肌が立った。

核心には至っていないようだけれど、彼は確実に勘づきかけている。

「そんなはずはないって、先日も言ったじゃないですか。それとも、そういう体で私のことを口説いてるんですか?」

私は嫌味のつもりで言ったのだが、山村は至極真面目な顔で返す。

「そうかもしれません。あなたのことが気になって仕方がないのは確かですから」

ドキッと胸が高鳴った。

気になるというのは私の正体のことであって、女性として魅力的だと言われたわけではないのに。

私が気になって仕方がないなら、存分に惚れればいい。

原口の時よりずっと、こっぴどく振ってあげる。

「やだ。私、冗談で言ったのに」

「いや、初めてあなたを見た時、ビビビッと来るものがあったんです。このどうしようもなく胸に引っ掛かる感じ……本当に会ったことがないのなら、俺たち、案外お互いが運命の相手かもしれませんよ」

こいつ、頭大丈夫?

私たちの間に「運命の相手」なんてメルヘンなワードが存在するわけがない。

「わけわかんない」

「俺とあなたは、過去に出会っているか、将来結婚するか。このどちらかなんじゃないかな」

< 100 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop