ライアーライフスタイル

「幼馴染み」

「……え?」

意外だった。

もっと派手な回答を期待していた。

IT企業の若手社長とか、ブランドをいくつも持っているデザイナーとか、芸能人とか、これまで付き合ってきたの、そういう人たちだったのに。

「しかも、年下」

「年下ぁ!?」

意外すぎる。

これまで付き合ってきたの、30代半ばから40代半ばの一番脂が乗った、ギラギラした男たちだったのに。

あかりが結婚するなら、そういうタイプの男だと信じて止まなかった。

その幼馴染みは、彼らを凌駕するほどのリッチマンなのだろうか。

「それで、彼は何をやってる人なの?」

「普通のサラリーマンだよ。2つ年下だから、まだ3年目のペーペー」

サラリーマンと結婚することは普通のことだけど、社長やら売れっ子デザイナーと付き合ってきたあかりが、回り回って普通の男性を選んだのが、逆にすごいことのように思える。

幼馴染みだということは、付き合いが長いということだ。

長い時間が育んだ愛や絆があるのかもしれない。

ふと山村の顔が頭をよぎる。

違う違う。

あいつは少しの間同じクラスにいただけで、幼馴染みではない。

私たちは友達ですらなかった。

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