ライアーライフスタイル

「幸せかどうかって聞かれたら、俺は間違いなく幸せだよ」

「そうなんだ」

「子供は可愛いし、奥さんは尽くしてくれるし」

でも、奥さんとはセックスレス。

それは幸せに無関係なのだろうか。

「それに、真咲はイイ女だしね」

当然だ。

こんなに都合のイイ女、他にはいない。

今日だって、本当は他の男と会う約束をしていた。

だけど主任からの合図を受け取ったから、残業になったと嘘をついて延期にした。

私がこんなことをするのは、特別にイイ男である新田主任にだけだ。

「奥さんも、こんな風に愛してあげたらいいじゃない」

「愛してるよ。でも欲を押し付けるのはなんだか恐れ多くてね」

「恐れ多い? 奥さんなのに?」

「自分の嫁さんをそう思うなんておかしいかもしれないけど、神々しくて」

「神々しい? マリア様みたいな?」

「そうそう、そんな感じ。聖母な感じ」

きっと彼の妻はできた女性なのだろう。

清楚で貞淑で、妻としても母としても完璧なのだ。

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