ライアーライフスタイル
「それがいいんじゃない?」
私は本心を隠すように、再びサングラスをかけた。
「弦川さん!」
制止しようとする山村を無視して続ける。
「初めからわかってたじゃん。一般人と結婚なんて、あかりには向いてないよ」
あかりはまるで映画やドラマに出てくるようなハイスペックで現実離れした男性とばかり付き合っていた。
大衆向けに作られた物語なんかより、あかりから聞くリアルなエピソードの方がずっと面白いから、私は長い間彼女のライフスタイルのファンだった。
そのライフスタイルが完結するのは、彼女が結婚を決意した時であろうと予想はしていたけれど、いちファンとしては、とびきりのハッピーエンドでないと納得できない。
「それに」
会ったこともない婚約者を悪く言うのは、いくら私でもものすごく胸が痛むけれど。
「自分が祝われたいがために、あかりの意向を無視して盛大にやりたいとか、自己中すぎない? そういう男がゆくゆくはモラハラとかやりだすんだよ。女が恥をかこうが悲しもうが、関係ないんだよ。だから――」